幸福と細雪
「幸福」を見ることができた!
新文芸座の市川崑特集にて。水谷豊主演の幻の映画。
なぜ幻かというと、製作のフォーライフ倒産で権利関係がいろいろあるらしく、テレビ等では放送されないし、パッケージ化もできないということなので。
市川崑が亡くなった頃に、あれこれ昔の映画について書かれているブログで「幸福」を知り、ずっと見たいと思っていたのだった。フィルムセンターには収蔵されているので、市川崑生誕100年にあたる2015年には見られるはず、それまで7年待つか・・。新文芸座のチラシを見るまでは、ずっとそう思っていたのだった。
ウキウキしながら有休を取り、朝一で新文芸座へ。
同時上映の「細雪」を見てから、「幸福」を見よー。そう思って上映15分前に劇場到着、席につく頃には早くも七分以上の入り。ひょっとして上映開始時には立ち見出ました?今日、平日ですよね?
客が大勢入っていて、更に気分高揚。そして「細雪」の上映開始。
「細雪」は、ずいぶん前にNHK BSで見た。改めて見て思った事をいくつか上げると。
・着物綺麗、四季の風景綺麗。京都で紅葉狩りしたい。
・石坂浩二、今見るとトニー・レオン。
・伊丹十三、苦労人。
・吉永小百合きれいだけど、やはり年齢が・・。
・この後、戦争になるんだなぁ・・。
・一言もしゃべらないのに結構いい役、江本ヒゲ孟紀。
・大阪の没落商家の人たちの、あのねちねちした感じおもろい。
・あの人、ねばらはったわぁ。
わー、おもしろかった。
そして本命の「幸福」!あまりの混雑ぶりに予告もなしの本編からの上映。
「幸福」は、言われなければ市川崑の映画だとわからなかったかも。まず題材が現代の刑事物で、舞台が根岸あたり。出てくる人も家庭で問題を抱えていて、華やかさがかけらもない。「細雪」を見た後なので、その落差が際立つ。メインの出演者も、水谷豊はじめ、永島敏行や中原理恵、谷啓と、市川崑映画とは馴染みのない人ばかり。
銀残しという手法による画面が、梅雨あたりのじっとりした暗さや、幹線道路沿いの排気ガスまみれの空気感、それから登場人物の陰鬱で疲れた様子を伝えてくれる。
ある射殺事件をめぐる人間ドラマで、水谷豊が奥さんに去られて子供二人となんとか生活を営む刑事を演じている。ところどころ北野先生を思い出させる言い回しもあるものの、やるせない疲れた感じを漂わせていて、すごくよかった。
いらいらして子供を叱りつけたり、恋人を亡くした永島演じる後輩刑事の面倒をみたり、日々の生活に疲れ昇進をあきらめていたり。若々しく、感情をあらわに行動する永島敏行とは対照的。
子役もうまい。小学校へいきなり父親が訪ねてきて、気まずい雰囲気になるところとか。父親も自分たちを置いていかないか姉弟で不安がるところとか。その分、水谷豊が出張に出る前に子供を抱きしめるシーンでは、ほろりときた。
他にも市原悦子がこズルイ役で出ていて、「青春の殺人者」で水谷豊の母親役だったなと思ったり。川上麻衣子がその娘で、この間ケーブルテレビで見た1時間のミステリードラマ「遮断機の降りる時」でこれまた水谷豊と共演してたなとか。中原理恵の母親役が草笛光子で、「熱中時代」の校長先生の奥さんだーと思ったり。
そして加藤武が「よし、わかった!」とやって、あ、それアリなんだ?と思ったり。本筋とは離れたところでも、たいそう楽しく見ることができた。
とゆーか、実はストーリーは全部知っていた。
なぜなら数ヶ月前、「幸福」のパンフレットをヤフオクで落札していたのだ。こんなに早く見られる機会が来ると思わなかったもので。
本編も見れたことだし、またパンフレットを見直すかー。
そして、また「幸福」を見ることができそうな、2015年を待つことにしよう。
Posted by sbt at Luglio 31, 2008 | 邦画
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