シネマアートン下北沢 閉館

下北沢のすずなり横丁にある小さな映画館「シネマアートン下北沢」が突如、閉館してしまった。

初めて行ったのは、水谷豊主演の「青春の殺人者」を見るためだった。ひょっとして10年ぐらい前か。その頃はまだ「シネマ下北沢」という名前だったかもしれない。
60、70年代ぐらいの日本映画を上映することが多く、そのときも何かの特集上映の一本だったのだと思う。その後、なんとなく疎遠となっていたのだが、そういえば表参道乗換なら結構さくっと行けるじゃんと気づき、4月、5月とそれぞれ見に行ったばかりだった。

200806301.jpg

4月は「その男の職業、刑事」という特集で、勝新太郎が製作・監督・主演した「顔役」と、製作・主演が若山富三郎(監督は三隅研次)の「桜の代紋」を見に行った。

勝新の「顔役」は名作。ずいぶん昔に国立近代フィルムセンターで見たけど、ものすごく衝撃的だった。
手ぶれやボケた感じの撮影、顔や手のアップ。山崎努のバタ臭いかっこよさ。それにラスト!ラスボスを車ごと工事の大穴に落とし、夕陽を背景に土をかけ続けて、ついには生き埋めにしてしまう勝新。
これはもう一度見たいと思って忘れて早数年。春先に、たまたま手にしたシネマアートンのチラシに「顔役」の文字を見つけ、見に行ったのだった。

20080630.jpg

「桜の代紋」は、「顔役」に比べるとやや落ちるけど、若山富三郎と松尾嘉代が夫婦役をやっているのは、「イキのいい奴」を連想させて、それはそれで面白かった。

200806302.jpg

5月の特集は「ショーケンが好きだ!」。
「青春の蹉跌」と「アフリカの光」を見に行った。
「青春の蹉跌」は神代辰巳監督で、長谷川和彦が脚本。閉塞感漂う映画で、いいと聞いてはいたけど、さすがに面白かった。何よりショーケンかっこいいなー。ちょうどケーブルテレビで「傷だらけの天使」も見ているけど、この頃のショーケンは文句なく、かっこいい。
「アフリカの光」も監督は神代辰巳。競演の田中邦衛とやたら触りあったりするシーンが多く、妙にホモっぽい映画だった。なんだか、いいとか悪いとか、もうよくわからんというのが感想。

どれも、そんなに映画館ではやらなかったり、そもそもDVDにもなっていない映画の上映もあったので、これからもシネマアートン下北沢はチェックしようかなと思っていたのだった。
それで夏はどんな特集をやるのかなとサイトを見たら、これだ!
あの客の入りでは経営が苦しかっただろうとは思うけど、あまりに急だと思ったら、何やらいろいろ事情があるらしい。

私がよく行く映画館は飯田橋のギンレイホールと高田馬場の早稲田松竹(ワセショー)で、どちらも一度は閉館の危機があった。
ギンレイは森田芳光もバイトをしていた由緒ある名画座だけど、前支配人が亡くなったときに閉館が検討されていたそうだ。今は年間パスの発行もあってか、プログラムによっては立ち見も出ている。
一方のワセショーも、2002年の春に閉館の憂き目にあった。今でも覚えてるけど、閉館前日に地元の商店街で友達と話していたら、Mちゃんからワセショー閉館のメールが入った。翌日、早速見に行った。カサヴェテス特集だった。
そのワセショーも無事復活し、こちらも今ではプログラムによっては立ち見の回があるほどだ。

シネマアートン下北沢は、席数少なくロビーもとても狭かったけど、奥にはカウンターがあってコーヒーやお酒が飲めたり、小さな階段をのぼるとテラスまであったりして、とても雰囲気のある映画館だった。
ギンレイやワセショーみたいに、また復活しないものかなぁ・・。

Posted by sbt at Giugno 30, 2008 | 邦画

前のエントリー:レイクロール!レイクロール!
次のエントリー:ハルチン2

シネマアートン下北沢 閉館へのトラックバック

トラックバックURL:
http://cosicosi.info/cgi/mt/mt-cosi-tb.cgi/226

シネマアートン下北沢 閉館へのコメント

いつか、経営者が変わって復活するよ、多分。
あまりにもったいないもん。
ファンも多いしね。

下北来た時は声かけて!!!

post by けりー at 30.06.08 22:09

「いろいろ事情」のリンク先読みました。そちらでそんなに儲かったというのがスゴイ。なんていうか、薬事法違反かもしれないけど、そんな悪の香りがしないというか、ダマされる方もちょっと滑稽な感じですね。なにやら、戦後のどさくさの儲け方のような…って最近色川武大エッセイコレクション読んでたので、つい思考がそっちに行っちゃいました(汗)


名画座系だと、横浜のジャック&ベティも復活しましたね。
関内アカデミーと日劇は無くなっちゃったけど…

post by mio at 01.07.08 21:10

>けりーちゃん
下北沢は店も人も多くて、本当に若者の町ですなぁ。
最近疲れ気味の私は、映画を見に行っても直行直帰。
今度、案内してちょ。

>mioさん
私も思いました!そんなに儲かるんだとびっくりです。
日劇って、濱マイクのロケ地でしたよね。
昔、ギンレイのスクリーンで見ましたよー。

post by sbt at 02.07.08 00:25

時々ふっと思い出しては行きたくなる映画館でしたが、そんなことになっていたとはショックです。実は初めて知りまして、サイトがなくなっている、と怪訝に思って検索したら、こちらに行き着きました。貴重な情報をありがとうございます。昨年、中央線沿線から引っ越して以来、足が遠のいていたのですが、そのときいわれていた下北沢再開発のせいでもなかったのが二重のショックです。ラピュタ阿佐ヶ谷とかも、儲けて頑張ってくれてるといいですけど…。

post by notabene at 12.10.08 14:25

notabeneさん

こんにちは。コメントありがとうございます。
ラピュタ阿佐ヶ谷、懐かしい。私はしばらくご無沙汰です。
シネマアートン下北沢は、おもしろい特集上映が多かったので、閉館は本当に残念です。藤沢辺りからいらっしゃるご夫婦もいたとか。
新しいスポンサーがついて、また復活してくれるといいですよね・・。

post by sbt at 14.10.08 22:10

シネマアートン下北沢 閉館にコメントをどうぞ




保存しますか?


 
シネマアートン下北沢 閉館 topへ↑
Powered by 3.33-ja movabletype.gif