夜よ、こんにちは

映画の日、かもめ食堂に続いて見たのは、イタリア最大の事件を題材にした「夜よ、こんにちは」。
1978年にローマで起こったキリスト教民主党党首、アルド・モロ誘拐殺害事件。犯人は極左武装集団「赤い旅団」だった。「夜よ、こんにちは」では、この事件を、アルド・モロ監禁時の監視役の女性、キアラの視点から描いている。
当初は理想に燃え、誘拐事件の成功に喜ぶキアラだが、隠し小部屋で食事をし、手紙を書き、息をしているモロの存在が徐々に大きくなっていく。政治家としてではなく、一人の人間として生きているモロの命を、理想の社会実現のためだとしても、奪っていいのか?組織の理想と、個人としての心情との対立。要所要所で流れるピンク・フロイドの音楽や、当時の映像がキアラの心の揺れを表現している。
虚実とりまぜ、進行していく物語。モロの運命を知っているはずなのに、見ている側にもキアラの迷いが伝わり、最後まで目が離せなかった。ラストシーンでの、景色の広がりが印象的。深刻な内容の映画だけど、このシーンでずいぶん救われた気分になった。
少し前の新聞で読んだけど、イタリアは、スローフード運動や陽気な人々、最近だとチョイ悪おやじブームもあいまって、明るい印象の国だ。だけど、そのイメージがイタリアの暗部を隠してしまっているのだそうだ。「夜よ、こんにちは」は、そんな部分を鮮明に見せてくれる映画だった。
第60回ヴェネツィア国際映画祭 特別個人貢献賞
第16回ヨーロピアン・フィルム・アワード 最優秀批評家連盟賞
ちなみに今回の上映では、トラブルはなく、ほっとした。でも、会員ポイントがうまくつかなかった。次に行ったときにつけてくれるそうだけど、大丈夫なんだろうか。前回のTouch the Sound以来、ますますユーロスペース不信が強まっているので、いまいち信用できない。
・夜よ、こんにちは 公式サイト
・赤い旅団 Wikipedia
・首相暗殺―赤い旅団のテロルと闘った男の壮絶な日々
Posted by sbt at Maggio 1, 2006 | ヨーロッパ映画
前のエントリー:FINE 真心ブラザーズ
次のエントリー:間宮兄弟
夜よ、こんにちはへのトラックバック
トラックバックURL:
http://cosicosi.info/cgi/mt/mt-cosi-tb.cgi/142
このリストは、次のエントリーを参照しています: 夜よ、こんにちは:
» 夜よ、こんにちは Buongiorno, notte (2003) from 私のイタリア映画紀行
この映画が描く事件の背景、赤い旅団の活動については、こちらの過去記事を参照ください。 【関連過去記事】http://myvoyagetoitaly.seesaa... [続きを読む]
tracked on 03.05.06 17:20
» 夜よ、こんにちは from 日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~
1978年のローマ。キアラは、若い男性と共にアパートに引っ越してきます。一見、普通の新婚のカップルに思える二人ですが、実は、「赤い旅団」という組織の一員で、他の... [続きを読む]
tracked on 06.05.06 09:29
» 夜よ、こんにちは from 映画雑記
共産主義の武装集団である赤い旅団により、
1978年に起きたイタリアの元首相モロ氏の誘拐〜殺害を元に、
犯行グループの女性に焦点をあてた作品です。
悲劇的な真... [続きを読む]
tracked on 13.05.06 01:12
» 『夜よ、こんにちは』のありえたかもしれない別の歴史 from 存在の耐えられない軽さ
後に観た『隠された記憶』の衝撃が強すぎて、印象が薄れつつある今日の1本目の作品、『夜よ、こんにちは』。
いやいや、充分濃ゆ〜い映画だったんですがね。
監督は、... [続きを読む]
tracked on 14.05.06 15:12
